普段はブータンの伝統建築(石や土や木材)の建物を扱っているのだが、珍しく鉄筋コンクリート造の建物の依頼を受けた。ブータンの伝統的な遊びとスポーツ協会(Bhutan Indigenous Games and Sports Association http://bhutanolympiccommittee.org/federations/bhutan-indigenous-games-and-sports-association/)から。鉄筋コンクリートの設計は一切しないうちの部署(文化局、Department of Culture)。でも今回は伝統スポーツ協会からの依頼だから引き受けることになったらしい。
ブータンに来て7年半、鉄筋コンクリート造の建物など小さなトイレくらいしか設計したことがないので困って放置しかけて、ブータンオリンピック委員会(Bhutan Olympic Committee)の人(日本人とも働いたことがあって、日本人はちゃんと期限を守るし想像以上に仕上げてくれると思ってる)に『日本人なのに…』と愚痴を言われる始末。すみませ…ん…
と、まぁ死にかけたところで本題。
わたしにとってブータンの鉄筋コンクリート造の設計は未知の世界。しかもこれは同僚(部長)のお父さんからの依頼。手は抜けない…でも打ち合わせは同僚を通してなのでなんだかちょっと話にギャップがあるなぁと感じつつも仕事をすすめていた。
うんうん唸りながら何度か伝統スポーツ協会の人たちやオリンピック委員会の人と相談を重ねていた、そんなある日。同僚もオリンピック委員会のひとも海外研修中、同僚のお父さんから電話の着信が。『いかすみ?なんか情報の行き違いがあるみたいだから一度会えるかな?』
もちろんです!とお返事してお会いして話をすると…
現場でこのサイズの建物が良いなと言うからその通りに設計したのだけれど『ラフに計算してみたところ予算を完全にオーバーしちゃった、えへ』ということらしい。予算かぁ…そういえばオリンピック委員会があまり予算がないから設計を外注に出さないでうち(文化局)にお願いしたっていったなぁ…建物に掛けられる予算は一切確認しなかったもんなぁ、すみません。
『あと、よく考えたら文化局が設計するんだし、伝統スポーツ協会に関係する建物なんだから伝統工法で建てようかと思うんだけど、どう思う?』との提案。
今更ですか!(泣)と思わなくはなかったけれど、伝統工法がわたしの専門。一から設計しなおしだけれどそっちの方がある意味簡単(積算とかもやらないといけないので)。なるべく早く新しいプランを作成することに同意して、お茶飲ませてもらってモモ(チベット餃子)食べさせてもらって帰宅。
まぁこういう変更ってよくあることなんだけれど、けっこう衝撃よね。
個人的に衝撃的な出来事は、わたしが一切予算のことを考えずに設計してたこと。日本だったらそんなことあり得ないもの!
ブータンの寺院の仕事では予算は無限とはいかないまでも、計画段階で言われたように相談したように設計すれば予算内に収まっていたので、予算について頭を悩ませる必要が一切なかったの。
や・ば・い。
わたし、いつか日本に帰るのに~!
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